食後の運動はした方が良い?医師532名に聞いてみました
本調査では、「食後に運動することを勧めますか」という質問に対し、「勧める」との回答(「多少は勧める」43%、「大いに勧める」18%の合計)が61%を占め、残り39%の医師が「勧めない」(「あまり勧めない」30%、「勧めない」9%の合計)との結果となりました。「勧める」と回答した医師からは、食後に運動することで、食後高血糖の抑制に有効、肥満予防に良い、筋肉がつく、代謝を良くすることができるなど多くのメリットが挙げられました。一方で、「勧めない」と回答した医師からは、吐き気が出たりする、腹痛を生じる可能性がある、骨格筋を動かすことで消化管への血流が落ち、消化不良の原因となりえる、消化には運動並みの体力が必要なため、運動誘発のアレルギーが心配などの理由がコメントされました。「2時間は安静にしておくべき」との声も寄せられており、食後の運動を勧める声が多かったものの注意が必要な面もありそうです。
みなさんは運動をしていますか?
ストレスの発散やダイエットなど様々な目的で行われる運動ですが、食前食後のどちらで行うのが良いのか気になる方もいると思います。
インターネット上では食事の前を勧めていたり、食後を勧めていたりと結局どちらがいいのかわからくなってしまいますよね。
特に食後の運動ではお腹が痛くなってしまうのでは?と心配することもあるかと思います。
そこで今回は、食後に運動することを勧めるか、一般内科医、総合診療科医、代謝・内分泌科医、健診・予防医学医計532名の医師に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https:/ /medpeer.jp/)にて、2018年12月18日〜12月19日にかけて行われ、一般内科医、総合診療科医、代謝・内分泌科医、健診・予防医学医の532名から回答を頂きました。
食後に運動をした方が良いのか
「食後に運動することを勧めますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらいコメントを頂きました。
・大いに勧める
・多少は勧める
・あまり勧めない
・勧めない
以下が結果となります。
集計の結果、食後に運動することを「勧める」との回答(「多少は勧める」43%、「大いに勧める」18%を合わせて)が61%を占め、残り39%の医師(「あまり勧めない」30%、「勧めない」9%を合わせて)が「勧めない」との回答する結果となりました。
それぞれの医師のコメントを見ていきましょう。
血糖値の抑制、肥満防止など…。「勧める」と回答した理由
・50代男性 代謝・内分泌科 「多少は勧める」
食後高血糖の抑制が必要な人には勧めます。
・30代男性 総合診療科 「多少は勧める」
血糖値を下げることができます。
・70代男性 一般内科 「多少は勧める」
食後30分過ぎてからの運動を勧めます。自律神経がある程度、落ち着いてからの運動です。
・60代男性 一般内科 「多少は勧める」
食事のカロリー消費に良いと思います。
・40代男性 一般内科 「多少は勧める」
食後の散歩程度の運動は勧めます。
・50代男性 代謝・内分泌科 「多少は勧める」
運動による成長ホルモン分泌刺激で、タンパク合成が期待できます。
・40代女性 一般内科 「多少は勧める」
多少は勧めますが、ハードな運動は勧めません。
・50代男性 一般内科 「多少は勧める」
運動の種類・強度にもよると思います。
・50代男性 一般内科 「多少は勧める」
一般に運動不足の患者が多いため。
・50代男性 一般内科 「多少は勧める」
糖分を消費するので。
・50代男性 一般内科 「大いに勧める」
息の切れない程度の運動が食後の高血糖の抑制に有効です。
・50代男性 健診・予防医学科 「大いに勧める」
食べたもののカロリーを消費できるため肥満予防に良いです。
・60代男性 代謝・内分泌科 「大いに勧める」
筋肉を付けるためにもすべきです。
・40代男性 総合診療科 「大いに勧める」
ある程度、代謝を良くすることができます。
・50代男性 一般内科 「大いに勧める」
脂肪燃焼効果が高いと思われます。
・50代男性 一般内科 「大いに勧める」
筋肉と関節の維持に必要だと思います。
肯定的な見解を示した医師からは、血糖値を下げることができる、食事のカロリー消費ができるため肥満予防に良い、糖分を消費できるといった意見が目立ちました。
このほかにも、「運動による成長ホルモン分泌刺激で、タンパク合成が期待できる」といった効果を期待するコメントもありました。
一方、運動をするには食後30分経ってからがいい、ハードな運動は推奨されないといったアドバイスも寄せられています。
息の切れない程度の運動が食後の高血糖の抑制に有効と考える医師もいらっしゃり、具体的には散歩程度が良いという意見もありました。
やはり、食後ということもあり、激しい運動は推奨されないようですね。食後に運動しようと考えている方は、無理のない範囲で行うようにしましょう。
消化に良くないから?「勧めない」と回答した理由
・50代男性 総合診療科 「あまり勧めない」
食後は消化に良くないのであまり勧められないと思います。
・40代男性 一般内科 「あまり勧めない」
腹痛を生じる可能性があるためです。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
消化管の血流維持がまずは重要です。
・60代男性 一般内科 「あまり勧めない」
食直後には胃に血流が集中し消化するからです。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
骨格筋を動かすことで消化管への血流が落ち、消化不良の原因となりえます。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
消化には、運動並みの体力が必要なためです。
・50代女性 一般内科 「あまり勧めない」
運動誘発のアレルギーが心配なので。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
横腹が痛くなることが多いです。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
胃腸の運動が亢進しているので好ましくありません。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
最低限の水分やわずかなゼリー程度なら良いかと思います。
・50代男性 一般内科 「あまり勧めない」
体に負担が大きいと考えます。
・60代男性 一般内科 「勧めない」
他の臓器の血流不足となるからです。
・60代男性 総合診療科 「勧めない」
吐き気が出たりします。
・40代女性 健診・予防医学科 「勧めない」
2時間は安静にしておくべきです。
・50代男性 一般内科 「勧めない」
勧めません。満腹だと運動のパフォーマンスが落ちます。
・40代男性 一般内科 「勧めない」
食後に運動する必要性がありません。
「勧めない」と否定的な見解を示した医師からは、消化に関して懸念を抱くコメントが目立ちました。
「骨格筋を動かすことで消化管への血流が落ち、消化不良の原因となりえる」、「消化には運動並みの体力が必要なため」、「運動誘発のアレルギーが心配」、「吐き気が出たりする」、「腹痛を生じる可能性がある」といった様々な意見が寄せられています。
なかには、「2時間は安静にしておくべき」との声もあり、食後すぐの運動は勧められないようでした。
しかしながら、最低限の水分や少しのゼリーの摂取であれば良いと考えている医師もいらっしゃったことから、食事量が関係することがうかがえます。
たくさん食べてしまったときは、運動するまでにしっかり時間を空けた方がよさそうですね。
6割の医師が食後の運動を推奨。しかし、時間を空けてからが無難かも。
本調査によれば、食後に運動することに肯定的な回答が61%、否定的な回答が39%という結果になりました。
肯定的な回答を選んだ医師からは、食後に運動することによって、食後の高血糖が抑制される、タンパク合成が期待できる、肥満予防に良い、代謝を良くすることができる、といった多くのメリットが挙げられました。
しかしながら、食後すぐにどんな運動でもしていい、ということではないようで、自律神経がある程度落ち着く食後30分を勧める声や、散歩程度の運動が推奨されるようでした。
一方で、「勧めない」と回答した医師からは、消化不良の原因となりえることや、消化には運動並みの体力が必要であること、運動誘発のアレルギーが心配、吐き気、腹痛が生じる可能性を指摘するコメントが見受けられました。なかには、「2時間は安静にしておくべき」と考える医師も。
そのため、食後に運動をする際は、最低でも食後に30分以上、できれば2時間以上空けてから行った方が良さそうです。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1579