ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはある?皮膚科医200人に聞いてみました
本調査では、ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはあるのか聞いたところ、「多少ある」との回答が一番高く、次に「大いにある」、「あまりない」が続きました。「大いにある」と「多少ある」との回答を合わせると、8約9割以上の医師が、ストレスが原因で蕁麻疹が生じてしまう可能性があると回答しています。ストレスは自体、精神的なストレスと肉体的なストレスの大きく2つに分けられるようですが、双方とも原因となる可能性があるようです。ただし、ストレスは検査などで調べることができないため、蕁麻疹の原因とストレスの関係性を明らかにさせることは難しいという医師のコメントもみられました。また、いくつか仮説はあるものの、ストレスが原因で蕁麻疹が生じてしまう詳細なメカニズムは解明されていないようです。
現代社会は、ストレスに満ちています。
人間関係、仕事、転居、勉強など、私達は様々なストレスにさらされていると言えるでしょう。
そんな中、ストレスが原因で体調を崩してしまう方も多いと思います。なかには強いストレスを抱えている際に、突然体に痒みが生じた経験もあるという話を耳にします。
では、果たしてストレスと蕁麻疹は関係があるのでしょうか?
そこで今回は、皮膚科医200人に、ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはあるのか聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2019年4月1日~2019年4月5日にかけて行われ、皮膚科医200人から回答を頂きました。
ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはある?
「ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはありますか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
・大いにある
・多少ある
・あまりない
・ほとんどない
以下のグラフが結果となります。
集計結果では、「多少ある」との回答が46%と一番高く、次に「大いにある」40%、「あまりない」10%が続きました。
「大いにある」と「多少ある」の回答を合わせると、8割以上の医師が肯定的な回答を示しています。
まずは、病気の概要をおさえてから、医師のコメントを見ていきましょう。
蕁麻疹とは
じんましんは漢字で「蕁麻疹」と表し、皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気です。
引用:蕁麻疹|公益社団法人 日本皮膚科学会
蕁麻疹の悪化因子として十分に考えられる
・50代男性 皮膚科 「多少ある」
ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはあります。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
原因不明の蕁麻疹は、ストレスが多いように感じます。
・60代男性 皮膚科 「多少ある」
確かに精神的なことが原因と思われることがあります。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
心的よりは肉体的ストレスで起こり得ます。
・30代男性 皮膚科 「多少ある」
ストレス、疲労、そのあたりでなる方は少なからずいます。
・50代男性 皮膚科 「多少ある」
緊張などで出る人もいます。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
明らかにストレスが関係していると思われるケースをたまに経験します。
・30代女性 皮膚科 「多少ある」
特に成人例においては、環境の変化に伴い発症したと考えられる例があります。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
あると思いますが、どのようなメカニズムなのかはっきりしていません。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
ストレスだけでは発症要因として説明がつきませんが、悪化因子としては十分関係ありそうです。
・50代男性 皮膚科 「多少ある」
直接原因が他にあって、ストレスが発症の契機になるケースがあります。
・50代男性 皮膚科 「多少ある」
神経症の要素や胃腸不良の関与でしょうか。
・50代男性 皮膚科 「多少ある」
ストレスから胃の消化活動が低下し、未消化の食べ物が腸へ運ばれ、結果蕁麻疹が生じるのではないかと考えます。
・50代女性 皮膚科 「多少ある」
ストレスのある人全員に蕁麻疹がでるわけではないので、蕁麻疹の出やすい気質の人がいて、そこにストレスが加わるとでるのではないかと思っています。逆に、慢性蕁麻疹の人はストレスで増悪するから、大いに関係していると言えます。
・50代女性 皮膚科 「多少ある」
一度ストレスで出現する蕁麻疹は、再発しやすく、患者自身も皮疹が出現することで、余計にストレスを感じています。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
疲労やストレスは悪化因子であるが、それらを取り除いたとしても完治するわけではありません。
・50代男性 皮膚科 「多少ある」
ストレスがなくなると良くなる人もいます。
・40代男性 皮膚科 「多少ある」
ストレスは調べることが難しいので確定診断には至らないことが多いです。
一番多く回答を集めたのは、「多少ある」との意見でした。
医師のコメントによれば、ストレスが原因で蕁麻疹が生じる可能性は、否定できないようで、原因不明の蕁麻疹はストレスが多いといった見解がみられました。
特に、成人では環境の変化や緊張などで蕁麻疹が生じることがあり、精神的なストレスと、肉体的なストレスの双方が要因になるそうです。
ただし、ストレスで蕁麻疹が生じるメカニズムは、はっきりしておらず、ストレスを調べることも困難であるため、確定診断に至らない場合が多いそうです。一説にはストレスから胃腸の消化活動が低下し、未消化の食べ物が腸へと運ばれることで、蕁麻疹が生じるのではないかと考えられる、とのことでした。
一度ストレスで蕁麻疹が生じてしまうと再発しやすく、皮疹が出現することで患者にとって余計にストレスになってしまう可能性があるようです。
疲労やストレスが蕁麻疹の悪化因子になる可能性はあるようですが、それを取り除いたからといって完治するわけではないとも言われています。
一方でストレスが無くなることで、症状が改善する症例もあるようなので、蕁麻疹が生じてしまった際に強いストレスがあれば、ストレス源を取り除く、あるいはストレス解消法を見つけるよう努めると、蕁麻疹には多少なりともよいかもしれません。
成人の蕁麻疹はストレスが原因である場合が多い
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはあります。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
ストレスは、蕁麻疹の原因で最も多いと思われます。
・60代男性 皮膚科 「大いにある」
3割ぐらいは、ストレス性と思われます。
・50代女性 皮膚科 「大いにある」
ストレスが原因というより悪化因子になります。
・40代男性 皮膚科 「大いにある」
診療ガイドラインにも記載されている通り、ストレスは悪化要因になります。
・60代男性 皮膚科 「大いにある」
特発性の蕁麻疹は、ほとんどストレスが関係しています。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
原因の1つになり得ますが、数値化はできません。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
原因のわからない蕁麻疹は、ストレスの影響もあるのではないでしょうか。
・40代女性 皮膚科 「大いにある」
成人の蕁麻疹は、ストレスがかなり関与していると思います。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
精神的背景が原因となります。
・40代男性 皮膚科 「大いにある」
精神的および肉体的ストレスが関係あります。
・30代男性 皮膚科 「大いにある」
特に職場の人間関係や睡眠不足などで蕁麻疹が生じることがあります。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
仕事、勉強、転居など様々なストレスと関係があります。
・60代男性 皮膚科 「大いにある」
大いにあると患者さんに説明しています。
・50代女性 皮膚科 「大いにある」
消去法になりますが、関係ありますね。
・30代男性 皮膚科 「大いにある」
ストレスによる免疫力の低下は関連があると思います。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
ストレス患者において重症化しやすいと思います。
・50代男性 皮膚科 「大いにある」
日常生活のストレスがなくなった途端に蕁麻疹が消えることがあるので、関連はあると思います。
・40代男性 皮膚科 「大いにある」
全例にストレスを解消することに努めるよう伝えています。
次に回答で多かったのは、「大いにある」との意見でした。
成人の蕁麻疹のうち、特発性のものはストレスが原因である場合が多く、蕁麻疹患者の約3割はストレス性のものだと考えられるといったコメントもみられました。
更に、蕁麻疹にストレスが関係していることは、診療ガイドラインにも記載されていることで、悪化要因にもなるとのことです。
主なストレスの背景としては、精神的なものと肉体的なものがあり、人間関係・仕事・勉強・転居・睡眠不足などが挙げられるようです。なかには、それらのストレス背景により、免疫力が下がって蕁麻疹が生じると考えている医師もおられました。
更に、ストレスが強い患者の場合は、重症化しやすいようです。医師の中には、ストレスが原因と考えられる蕁麻疹が生じている患者に対して、ストレス解消に努めるよう指導しているそうなので、ストレスをなくそうと取り組むこと自体が症状の改善に繋がるのかも知れません。
蕁麻疹とストレスの関係性を証明するのは難しい
・40代女性 皮膚科 「あまりない」
ストレスだけでは発症しません。
・50代男性 皮膚科 「あまりない」
あまり関係ないと思います。
・40代男性 皮膚科 「あまりない」
あまり因果関係はないように感じます。
・40代男性 皮膚科 「あまりない」
なんでもストレスが原因と考えるのは安直すぎます。
・60代男性 皮膚科 「あまりない」
確実に関連があるとは言い切れないと思います。
・50代女性 皮膚科 「あまりない」
ストレスとの関係性を証明するのは難しいです。
・30代男性 皮膚科 「あまりない」
実際に関係がないというエビデンスも揃って来ています。
・30代男性 皮膚科 「あまりない」
患者さんにはストレスも・・と説明しているが、正直原因不明なことについての「逃げ」の説明だと思います。
・60代男性 皮膚科 「あまりない」
患者さんには「ストレス性の蕁麻疹はある」と説明しますが、客観的に証明できる様な症例には遭遇していません。
最後に、少数派ですが「あまりない」と答えた医師の意見も見てみましょう。
コメントでは、安易にストレスが原因と考えてはいけないという意見がありました。「ストレスは調べることができない」、「ストレスは数値化できない」との意見も挙がっており、それと同様に「ストレスは証明できない」との声が見られました。
なかには、ストレスと蕁麻疹は無関係であるというエビデンスも存在しているといった医師の意見もみられます。
実際に、ストレス性の蕁麻疹はあると説明しているものの、客観的に説明できるような症例に遭遇していないそうです。
蕁麻疹の原因がストレスにあると断言できないものの、患者さんへの説明が必要な場合に「ストレスが原因で蕁麻疹が出ている可能性がある」と説明せざるを得ないという医師の状況も伺えました。
確定はできないが、ストレスで蕁麻疹が生じることはある
本調査では、ストレスが原因で蕁麻疹が起こることはあるのか聞いたところ、「多少ある」との回答が一番高く、次に「大いにある」、「あまりない」が続きました。実際に人間関係や仕事、勉強などでストレスが生じている人に蕁麻疹が生じてしまうことはあり、蕁麻疹患者の約3割は、ストレス性のものと考えられるといった医師のコメントもありました。
一方、蕁麻疹の原因とストレスの関連性を証明することが難しく、確定診断に至ることは少ないといった見解も見られます。ストレス性の蕁麻疹が生じてしまった場合は、薬物療法だけでなく、ストレス源を取り除いたり、ストレス解消法を試みたりすることで、症状が改善されることもあるようです。
蕁麻疹に悩まされている方は、意図的に運動や趣味、リラクゼーションの時間を設けるなど対策をされるのも大事かもしれません。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1670