【テスト】医師・管理栄養士が教える!血圧を下げる食べ物・食事とは
日本で高血圧の人がどれくらいいるかご存知ですか?
厚生労働省によると、医療機関を受診している患者数は、なんと約1000万人※1だそうです。
決して他人事ではありません。
高血圧は食べ物など生活習慣の見直しが不可欠!
血圧を下げるための食べ物には、普段から生活に取り入れやすい食材もたくさんあります。
上手に使って、毎日コツコツと続けていきましょう。
ここでは、血圧を下げるのに最適な成分、それを含む食材と、それらを使ったおすすめのレシピをご紹介します。
※1 厚生労働省「平成26年患者調査」
高血圧と食事
血圧を下げる効果が期待できる食品
【食べ物】
・サバ・サンマ・イワシなどの青魚などDHA・EPAを含むもの
・野菜・海草・大豆製品・果物などカリウムを含むもの
・海藻・果物・芋・豆類や野菜など食物繊維を多く含むもの
・お酢
・オリーブオイル
【飲み物】
・緑茶
・その他のお茶(そばや杜仲茶など)
・お酢ドリンク
・トマトジュース(無塩)
なるべく控えるべき食品
・塩分(ナトリウム)を多く含むもの
・酸化した油を含むもの
・野菜が少ない偏った食事
・アルコール
お手軽にできるおすすめレシピ
・イワシのお酢煮
・トマトと玉ねぎのマリネ
・里芋の炊き込みご飯
血圧を下げる効果が期待できる食品
血圧を下げる効果が期待できる食材を覚えて、毎日の食卓に積極的にとり入れていきましょう。以下に、代表的なものを紹介します。
栄養素 | 食材 |
DHA・EPA | サバ・サンマ・イワシ・マグロ・ブリ・鮭(缶詰でもOK) |
カリウム | パセリ、アボカド、納豆、ほうれん草、山芋、ゆで大豆、里芋、バナナ、メロン、キウイフルーツ |
食物繊維 | ごぼう、納豆、きんかん、オクラ、芽キャベツ、インゲン豆、菜の花、モロヘイヤ、なめこ |
サバ・サンマ・イワシなどの青魚(DHA・EPAを含むもの)
まずは、サバ、サンマ、イワシなど、青魚です。
季節になると脂がのっておいしく楽しめる、定食の定番、青魚には、DHA、EPAと言われる成分が多く含まれます。
DHAは、血管や赤血球の細胞膜を柔らかくする働きによって、血流をよくします。
EPAは、血小板凝集抑制作用によって血栓をつくらせないことで血流をよくします。
これにより、血圧を下げる効果が期待できるでしょう。
どちらも魚の脂に多く含まれる成分で、特にサバ・サンマ・イワシなどの青魚に多く含まれます。
マグロやブリ、鮭にも多く含まれます。
そうは言っても、自分で切り身を買ってきて調理するのは面倒と思われる方も、いるかもしれません。
嬉しいことに、缶詰でも同じようにDHAやEPAが多く含まれるので、調理が大変な時でもうまく利用すると良いでしょう。
野菜・海草・大豆製品・果物(カリウムを含むもの)
カリウムは体内で不要になった塩分(ナトリウム)や水分を排泄する働きがあります。
高血圧気味の方は、血圧を維持するために減塩を努めるとともにカリウムを積極的に摂ることが推奨されています(日本人の食事摂取基準(2005年版))。
カリウムは様々な食品に含まれていますが、特に野菜・海藻・大豆製品・果物に多く含まれています。
具体的な食材だと、パセリ、アボカド、納豆、ほうれん草、山芋、ゆで大豆、里芋、バナナ、メロン、キウイフルーツなどが多く含んでいるので、おすすめ!
食事には必ず副菜として、小鉢やサラダ、汁物をつけると、簡単に摂れそうですね。
海藻・果物・芋・豆類や野菜(食物繊維を多く含むもの)
食物繊維の中でも特に、水溶性食物繊維のアルギン酸は高血圧の予防が期待できます。アルギン酸はナトリウムを体外へ排出する効果があります。
水溶性食物繊維を多く含む食品は、海藻・果物・芋類・豆類・野菜等です。
具体的な食材だと、ごぼう、納豆、きんかん、オクラ、芽キャベツ、インゲン豆、菜の花、モロヘイヤ、なめこなどに多く含まれます。
普段の食事で積極的に摂るように心がけると良いでしょう。
お酢
お酢は、血圧を下げる効果が期待できます※2。
食酢メーカーの血圧降下による臨床試験では、ときどき大量に摂るよりも、少量を毎日摂る方が、効果があると報告されています。
日持ちのする酢の物などを、常備菜にするのもいいですね。
※2 食酢配合飲料の正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する降圧効果」(健康・栄養食品研究 6(1):51-68 2003)
オリーブオイル
オリーブオイルには、血圧を下げる効果があります。
通常の高血圧の治療と同時にオリーブオイルを加えた食事療法を行ったところ、血圧の改善が得られたということが研究で明らかになっています。
オリーブオイルに含まれる、抗酸化作用を持つポリフェノールやビタミンAが、体内の活性酸素を除去することで動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防、改善する効果が期待されています。
サラダにはドレッシングではなく、オリーブオイルを使うと、簡単に摂れますね。
血圧を下げる効果が期待できる飲み物
気軽に摂取できる飲み物で有効成分を摂ることも良いでしょう。
いくつか紹介していきます。
緑茶
まず、今すぐ日常的に飲めるものとしては、緑茶。
お茶の渋味成分の「カテキン」には血圧の上昇を抑制する働きが期待されています。
カテキンはどんなお茶にも含まれていますが、特に緑茶に多く含まれます。
未発酵のお茶に多く含まれるため、ウーロン茶や紅茶よりも緑茶がおススメです。
その他のお茶
カテキンの他にも、
・そば茶に含まれる「ルチン」
・杜仲茶に含まれる「ゲニポシド酸」
・ドクダミ茶の「ドクダミ」(カリウムを多く含む)
・ハブ茶「アントラキノン誘導体」には血圧を下げる効果が期待できます。
お酢ドリンク
先述したように、お酢は血圧を下げるのに効果があるので、お酢ドリンクもオススメです。
お酢大さじ1~2杯(15~30ml)を目安に、8倍以上に薄めて飲んでください。
もし飲むとしたら「食後すぐ」がベストなタイミングです。
食前に飲むと、胃に負担がかかる場合があります。食欲増進効果がありますので、食欲がない時は食前に飲むことも良いですが、食べ過ぎてしまう原因にもなります。
トマトジュース(無塩)
トマトジュースには、カリウムがコップ1杯200ccで約500mg含まれていて、飲み物の中では特に多く含まれています。
野菜がどうしても摂れない時など、トマトジュースをうまく利用するのもおススメ。
ただし、当然、無塩のものがベスト。成分表示を見て、ちゃんと確認してくださいね。
なるべく控えるべき食べ物は
摂った方がいいものがある一方、控えるべきものもあります。
高血圧の原因は様々ですが、当てはまるものがあったらそこから控えていくことが大切です。
塩分(ナトリウム)を多く含むもの
ナトリウムの過多摂取は血管の圧力を高め、高血圧を引き起こす主な原因です。
極端に塩を減らして薄味にするというよりも、精製塩(食卓塩など)ではなく、ナトリウム含有率が低い自然塩(海塩など)を使用することをオススメします。
また、外食や出来合いのもの、加工食品は、精製塩で味付けをされていることがほとんどなので、要注意です。
外食では、麺類のスープは残すようにする、ドレッシングをかけすぎない、など簡単にできることから気を付けましょう。
できるだけ、家庭ではソーセージやハムのような加工食品やレトルト食品などは控え、自分自身で調理し、調味料も何を使っているのか分かった上で食べるようにすることが一番でしょう。
酸化した油を含むもの
血圧に限ったことではありませんが、酸化した油は血液の状態を悪くし、健康状態を悪化させる可能性があります。
油は酸素に触れると酸化しますので、例えば、揚げてから時間がたったもの(お惣菜の揚げ物、スナック菓子など)、古い油を使って揚げたものなどは注意が必要です。
お菓子は意外なものにも油が使われていますので、裏の表示をよく見て、油が使用されていないかチェックすることも大切です。
野菜が少ない偏った食事
血圧を下げるのに効果がある成分は、上記でお伝えしたように野菜や海藻、きのこ、豆類、果物などに多く含まれます。
外食で麺類など単品料理ばかりだったり、カップラーメンやレトルト食品で済ませてしまうことが多い、などといった場合、これらの食品があまり摂れない食事になってしまうでしょう。
外食にする場合でも定食を選び、サラダや小鉢をつける、買ってくる場合でも、野菜料理は必ず入れる、納豆は食べるようにするなどの工夫をすると良いでしょう。
アルコール
お酒は適量であれば血管を拡張させたり、リラックス効果があるため、一時的に血圧を低下させます。
しかし、飲み過ぎや習慣的な飲酒は高血圧の原因になります。
お手軽にできるおすすめレシピ
血圧を下げる効果のあるおすすめレシピを紹介します。
イワシのお酢煮
DHA・EPAを多く含むイワシと血圧を下げる効果のあるお酢を組み合わせました。生姜たっぷりで日持ちするレシピ。多めに作って常備菜にもぜひ。
材料(4人分)
イワシ 8尾
生姜 80g(4片程度)
水 100cc
酢 120cc
酒 大さじ2
しょうゆ 大さじ3
みりん 大さじ3
作り方
1. いわしは頭と内臓を取り除き、水で洗い、水分をふきとっておく。(お店で調理してもらうと便利)
2. 生姜は細切りにする。
3. 鍋にイワシを重ならないように並べ、水、酢、酒、生姜を入れ、落とし蓋をして中火にかける。
4. 沸騰したら、しょうゆとみりんを加え、弱中火で20分ほど煮る。
トマトと玉ねぎのマリネ
カリウムが多いトマトと玉ねぎと、血圧を下げる働きのあるお酢とオリーブオイルでマリネにしました。同じマリネ液で他の野菜でも代用できます。
材料(作りやすい分量)
トマト 1個
玉ねぎ(あれば新玉ねぎ) 1個
砂糖 大さじ1
(A)
酢 大さじ2
砂糖 大さじ1
オリーブオイル 大さじ1
自然塩 ひとつまみ
こしょう 適量
作り方
1. 玉ねぎを薄くスライスし、砂糖を揉み込み(玉ねぎを食べやすくするため)、水にさらす。
2. トマトを小さめのくし切りにする。
3. (A)を混ぜてきび砂糖をよく溶かす。
4. 水にさらした玉ねぎの水気をキッチンペーパーなどで絞って、よく切る。
5. 3にトマトと玉ねぎを入れ混ぜ合わせる。
里芋の炊き込みご飯
カリウムと食物繊維が多い芋類の里芋を炊き込みご飯にしました。薄味ながら、こんぶの旨味のおかげでおいしくいただけます。
材料(2合分)
米 2合
里芋(冷凍可) 3〜4個(200g)
こんぶ 5cm角
しょうゆ 小さじ2
酒 小さじ2
黒ごま(仕上げ用) 適量
作り方
1. 米を洗って、ざるに30分くらいあげておく。(時間がなければ省略可)
2. 里芋を洗って、2~3cm角に切る。
3. 米と調味料を炊飯器に入れ、2合の線より少し少なめに水を入れる。
4. 里芋を入れて炊飯器のスイッチを入れる。
5. 炊き上がったら混ぜ、お茶碗に盛り、黒ごまをかける。
血圧を下げるために、脂ののった魚や野菜、海藻、果物、豆類、芋類などを生活に取り入れ、塩は使うなら自然塩を、外食や加工食品は極力控えることを、毎日コツコツと続けていきましょう。
内科医 / 工藤孝文
福岡県みやま市出身。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学、帰国後、大学病院で糖尿病、肥満症などの生活習慣病を専門に修業、現在は、自身のクリニック工藤内科で診療を行う。2017年よりスマホ診療を導入し全国規模でダイエット治療・漢方治療を行っている。
テレビ番組の出演・医療監修、書籍、雑誌やヘルスケア情報サイトの監修など、メディア活動多数。
日本内科学会、日本糖尿病学会、日本東洋医学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指医
引用:「+healthcare」より