日常生活で高血圧の予防のために何ができる?高血圧の予防に適した食材って何?医師500人に聞いてみました
本調査では、日常生活において高血圧を予防するために適していることは何か聞いたところ、「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」との回答が一番多く、次に「習慣的に運動する」、「喫煙を控える」が続きました。上位2つの高血圧の予防策は医師からの支持が過半数を占めており、中でも「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」は際立って高い得票率になりました。次に、高血圧の予防のために適した食材は何かという質問については、「野菜」と回答している医師が一番多く、次に「特にない」、「果物」が続きました。「野菜」のみ医師からの支持が過半数を占めており、高血圧の予防には野菜多めの食事を心がけてみても良さそうです。食生活でも塩分を控えたり、カリウムの含まれる野菜を多く食べたりなど、色々な工夫ができそうですね。また、有酸素運動を取り入れることも、高血圧予防に期待できるとのことです。自身の生活を振り返って、改善できそうなところから始めてみてはいかがでしょうか。
高血圧は健康診断で多くの人の頭を悩ませていますよね。
食生活の偏りや不規則な生活リズムが続いて、血圧の数値が上がってしまったという方もなかにはおられると思います。
健康のためにも適正な血圧にしたいけど、日頃から高血圧の予防のために何ができるのか気になるという方もおられるのではないでしょうか。
そこで今回は、一般内科、総合診療、循環器内科医500人に、日常生活で高血圧の予防のためにできることは何か、高血圧の予防のために適した食材は何か聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年10月3日~2018年10月4日にかけて行われ、一般内科、総合診療、循環器内科医500人から回答を頂きました。
高血圧の予防で日頃からできることって何?
まずは、「日常生活において高血圧を予防するために適しているのはなんですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
・塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける
・習慣的に運動する
・喫煙を控える
・ストレスを溜めない
・飲酒を控える
・カリウムを多く含む食べ物を食べる
・十分な水分補給を心掛ける
・急激な温度差の少ない生活をする
・その他
以下のグラフが結果となります。
集計結果では、「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」との回答が80%と一番高く、次に「習慣的に運動する」、「喫煙を控える」が続きました。
上位2つの高血圧の予防策は医師からの支持が過半数を占めており、中でも「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」は際立って高い得票率になっています。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
塩分に気をつけたバランスの良い食事をとろう
・60代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」
塩分を控えたバランスの良い食事が重要です。
・60代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」
生活では塩分制限が大切です。
・60代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」
減塩食がお勧めできる予防策かなと思います。
・70代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」
バランスのよい食事は大事です。
・30代女性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」
いつも患者さんにも塩分は気をつけるよう説明しています。
・60代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」・「飲酒を控える」・「喫煙を控える」
減塩食事療法は重要だと思います。
・30代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」・「ストレスを溜めない」・「急激な温度差の少ない生活をする」
塩分依存性の高血圧が多いです。
・50代男性 一般内科 「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」
食塩感受性のある人もいます。食事に気を遣うこと自体が重要です。
医師の回答を見ると「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」との声が多数挙がっていました。
まずは塩分とはどんな物なのかおさえましょう。
ナトリウム(塩分)とは
ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関与しています。また、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節しています。ナトリウムを過剰にとると、この液量が増大するため血圧が上がったり、むくみを生じたりします。
引用:ナトリウムの吸収と働き|公益財団法人長寿科学振興財団
塩分を過剰に摂ると血圧が上がる原因になると明記されていますね。
コメントでは、多くの医師がお勧めできる予防策として減塩食を挙げていました。
実際に患者さんとの対話の中でも、塩分の取りすぎには気をつけるよう、よく説明しているそうです。
また、塩分を控えるのと同時に、バランスの良い食事が重要とのことです。高血圧の方で食事の内容に偏りがあると感じる場合は、一度見直してみるではいかがでしょうか。
ほかに食塩感受性という言葉も出てきていましたので、概要をおさえましょう。
食塩感受性とは
食塩の取りすぎと高血圧は密接に関係しており、塩分を控えることは高血圧治療の基本です。しかし、高血圧患者さんの中には、食塩を取ると血圧が上がり、減らすと血圧が下がる人と、食塩を取っても減らしても血圧があまり変わらない人がいます。前者を「食塩感受性がある」、後者を「食塩感受性がない」といい、日本人では前者が4割、後者が6割といわれています。食塩感受性は遺伝が関係しますが、加齢、女性、肥満、腎疾患、糖尿病なども影響します。
「食塩感受性がない」人は多少食塩を取りすぎても腎臓からその分を排泄しますが、「食塩感受性がある」人は、食塩の排泄がうまくできないため、血液中のナトリウム濃度が上がって体液が増え、血圧が上がります。「食塩感受性がある」患者さんは、食塩を取りすぎると血圧の薬が効きにくく、心臓、血管、脳、腎臓に障害を来たすことが多いため、厳重な塩分制限と積極的薬物治療が必要です。引用:食塩感受性|岩手県医師会
食塩感受性があると食塩の摂取が血圧に影響しやすいのですね。
そうかもしれないと感じる方は、特に食生活での塩分摂取には気をつけた方がよいかもしれません。
有酸素運動を行うとダイエットにも効果あり
・50代男性 一般内科 「習慣的に運動する」・「喫煙を控える」
食事と運動です。それにより肥満を改善しましょう。喫煙している人は禁煙です。
・50代男性 一般内科 「習慣的に運動する」・「飲酒を控える」・「喫煙を控える」・「ストレスを溜めない」
運動の励行を行なっています。
・60代男性 一般内科 「習慣的に運動する」
慢性的な高血圧になる原因は運動不足が考えられます。
・60代男性 一般内科 「習慣的に運動する」・「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」・「ストレスを溜めない」
食事と運動が一番です。太らない様に指導しています。
・30代男性 一般内科 「習慣的に運動する」
有酸素運動が良いと考えられます。
・60代男性 一般内科 「習慣的に運動する」・「飲酒を控える」・「喫煙を控える」・「ストレスを溜めない」
適度の運動が重要と考えます。
・30代男性 一般内科 「習慣的に運動する」
運動して体重を減らしましょう。
・50代男性 一般内科 「習慣的に運動する」
体重を適正体重に保つのは重要です。
・50代男性 一般内科 「習慣的に運動する」・「飲酒を控える」・「喫煙を控える」
運動習慣をつける事は大切ですね。有酸素運動がお勧めです。
次にコメントで多かったのは、「習慣的に運動する」です。
具体的な運動としては、有酸素運動を勧める医師が多くいました。有酸素運動という言葉の概要についてもおさえましょう。
有酸素運動とは
有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳など、長時間継続して行う運動を指します。これらの運動は、運動中に筋を収縮させるためのエネルギー「アデノシン三リン酸(ATP)」を、体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出すことから、有酸素運動と呼ばれます。
引用:有酸素運動|公益財団法人長寿科学振興財団
どうやら有酸素運動は、ウォーキングなどの長時間継続して行う運動を指すようです。
また、適正体重に保つためにも運動は良いといったコメントもみられました。
ウォーキングやジョギングなどは、誰でも取り組みやすい運動ですし、血圧に加えて体重を気にされている方は、挑戦してみるとよいかもしれません。
高血圧の予防に適した食材って何?
続いて「高血圧の予防のために適した食材はなんですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
・野菜
・果物
・魚
・穀物
・乳製品
・肉
・卵
・特にない
・その他
以下のグラフが結果となります。
こちらの調査では、「野菜」と回答している医師が58%と一番多く、次に「特にない」、「果物」が続きました。
「野菜」のみ医師からの支持が過半数を占めており、高血圧の予防には野菜多めの食事を心がけてみても良さそうです。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
高血圧の予防には生野菜を多く食べる習慣を作ろう
・40代男性 一般内科 「野菜」
カリウムをとる意味では生野菜が良いですね。
・40代男性 一般内科 「野菜」
カリウムはナトリウム排泄を促進します。
・60代男性 一般内科 「野菜」
野菜はカリウムが豊富で良いと考えます。
・50代男性 一般内科 「野菜」
野菜を多く摂取するのは良さそうです。
・50代男性 一般内科 「野菜」
食物繊維で動脈硬化の予防になります。
・40代女性 一般内科 「野菜」
繊維質とカリウムが取れるため、特に生野菜がお勧めです。また、ドレッシングは不要です。
・60代男性 循環器内科 「野菜」
高血圧の予防のために適した食材は野菜を最初にとる事です。
・40代男性 一般内科 「野菜」
塩分を多く含まないものが良いです。
・50代男性 一般内科 「野菜」
カロリー制限を考えても野菜は良いです。肥満にならない事が一番効果があると思います。
・70代男性 一般内科 「野菜」
野菜を多く取る食習慣が必要です。
一番多く見られた回答は、「野菜」であり、カリウムと食物繊維を摂取できることが、高血圧の予防に繋がるとの意見が多くありました。
まずカリウムと食物繊維の言葉の概要をおさえましょう。
カリウムとは
カリウムは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしています。また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。
引用:カリウム|長寿科学振興財団
食物繊維とは
食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されています。水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維とに大別されます。食物繊維の多くは、単糖がたくさん結合した多糖類の仲間ですが、消化されないため、エネルギー源にはなりません。
引用:食物繊維|長寿科学振興財団
食物繊維の働きとは
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。
引用:食物繊維の働き|長寿科学振興財団
医師のコメントにもありましたが、カリウムはナトリウム(塩)の排泄を促進させ、血圧を下げる効果があるとのことです。
食物繊維についてもさまざまな効果があり、中でも動脈硬化の予防については医師からも期待ができると意見がありました。
野菜の摂り方としては、まず多く食べる食生活にするのが大切で、さらに最初に野菜を食べるのもポイントとのことでした。
加えて、野菜を調理せずに生で食べるのもカリウムや食物繊維の摂取を考えると有効みたいです。その際にドレッシングは不要との意見もありました。
野菜不足や、食生活に偏りがある方は、これらを参考にしてみてはいかがでしょうか。
塩分を抑える、糖質制限するなどの工夫をしよう
・50代男性 一般内科 「特にない」
糖質制限が有効です。
・40代女性 一般内科 「特にない」
これを食べれば血圧が下がるというような食材はないです。
・50代男性 一般内科 「特にない」
バランスの良い和食の食事が良いです。
・40代男性 一般内科 「特にない」
塩分を控えたバランスの良い食生活を心がけましょう。
・50代男性 一般内科 「特にない」
健康食品やトクホに頼るよりもしっかりと薬を服用しましょう。
・40代男性 一般内科 「特にない」
なんでもバランスよく食べるのが大切だと思います。
・60代男性 一般内科 「特にない」
塩分が余計に含まれていれば意味がないです。
・30代男性 一般内科 「特にない」
カロリーが低いものが良いと思います。
・40代男性 一般内科 「特にない」
塩分制限だと思います。調味料を減らすのが一番だと思います。
・50代男性 一般内科 「特にない」
バランスを大切にするので特定の食材が良いという認識はありません。
次に気になったのは、「特にない」との意見です。
医師のコメントでは、特定の食材に高血圧の予防は期待できないとの意見が集まっていました。
しかし、食生活において高血圧を予防するための工夫について多くコメントに寄せられています。主なポイントは、以下の通りです。
・糖質制限をすること
・塩分制限をすること
・カロリーを抑えること
・バランスよく食べること
・しっかりと薬を服用すること
これらを意識して日々取り組めるといいですね。
高血圧の予防には塩分を控えた食事を心がけましょう。生野菜を多く食べるのもお勧め
本調査では、まず日常生活において高血圧を予防するために適しているのは何か聞いたところ、「塩分を控えたバランスの良い食生活を心がける」との回答が一番多く、次に「習慣的に運動する」、「喫煙を控える」が続きました。
高血圧で日々の食事を改善したい方は、減塩食の導入を考えてみるとよいとのことでした。併せてウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることも推奨されており、いま一度自分の生活習慣を振り返って、改善できる点を探してみましょう。
次に、高血圧の予防のために適した食材は何かという質問については、「野菜」と回答している医師が一番多く、次に「特にない」、「果物」が続きました。
カリウムと食物繊維を摂取できる野菜を推奨する声が多数あり、加えて食べ方の工夫についても複数紹介がありました。塩分制限や糖質制限、カロリーを抑えるなどして、野菜を摂取しつつもバランスの良い食事になっているか、全体を俯瞰してみることも大切と言えそうです。
今回は、日常生活で高血圧の予防のためにできるのは何か、高血圧の予防のための適した食材は何か、についてみてきました。
高血圧予防のために日常生活で行える工夫が色々あるのが分かりましたね。日常生活も食生活も抱えている問題は人それぞれだと思います。
高血圧の予防に向けて、継続して行えそうな方法をまずは試してみてはいかがでしょうか。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1644