熱があるときにお風呂に入っても大丈夫? どんな症状のときは危険?医師523人に聞いてみました
今回の調査では、発熱時の入浴は「良い」「比較的良い」と回答した医師は合わせて全体の8割にのぼりました。しかし、入浴が可能な場合でも、短時間に留めること、湯冷めしないように対策すること、脱水症状には気をつけること、などが主な留意点として指摘されています。また、入浴を避けたほうがよい熱の併発症状として「めまいやふらつき」を挙げる医師が5割を超えました。他にも、「38度以上の高熱」「吐き気」を伴う際は入浴を控えたほうが良い、と回答した医師は4割超になりました。全体として、症状が軽く、自己管理が充分できる状態であれば、入浴しても大丈夫なようですが、症状が重い場合は無理しない方がよさそうです。
熱があるとき、お風呂に入ってよいかどうか迷う方は多いのではないでしょうか。
少し前にはしばしば「熱があるときはお風呂に入っちゃダメ」という話も聞かれましたが、最近では逆に、熱がある時はお風呂に入るのがよいという噂も耳にするようになりました
体調の回復にも関わることなので、発熱時の入浴は良いのか、悪いのか、本当のところを知りたいですよね。
そこで今回は、一般内科医、総合診療科医523人に、熱があるときお風呂に入っても大丈夫なのか、聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月23日〜4月24日にかけて行われ、一般内科医、総合診療科医523人から回答を頂きました。
8割の医師が「熱があるときでも入浴して構わない」
「熱がある場合でもお風呂に入っても良いと思いますか」という質問に対して、以下のようなアンケート結果が出ました。
集計の結果、「良い」「比較的良い」と回答した医師の数を合わせると、8割弱の医師が発熱時でも入浴して問題ないと考えているようです。
「昔は熱が出たときはお風呂に入っちゃダメ、って言われてたのに…」などと、この結果に驚く方も多いのではないでしょうか。
しかし、いずれの回答においても、発熱時に入浴する際にはいくつか気をつけるべきポイントがあるというコメントが寄せられていました。
さっそく、回答をした医師のコメントを見ていきましょう。
状態がよければ入浴可。でも長風呂・湯冷め・脱水には気をつけて。
・60代男性 一般内科 良い
清潔が一番大事です。
・50代男性 一般内科 良い
風呂がいけないというエビデンスはありません。
・50代男性 一般内科 良い
蒸気を吸入することで気道粘膜に好影響を与え、保清にも良いです。また気分的にもリラックスできるので、風呂上がりをきちんとすれば入浴は決して問題にはなりません。
・50代男性 一般内科 良い
元気であれば問題ないと思いますが、脱水に注意する必要があります。
・70代男性 一般内科 良い
よっぽどの高熱で本人が動けない場合でない限り問題ありません。
・70代男性 一般内科 良い
重症感がなく、37度台であれば入浴可能とおもいます。
・30代男性 一般内科 良い
ふらついて倒れてしまうなら避けても良いです。熱がある場合に風呂に入らないように、という教えは、風呂と部屋の移動の際に外を経由しなければならなかった時代の名残です。
・30代男性 一般内科 比較的良い
風呂上がりにしっかり乾燥させるかどうかと、体力があるかどうかが重要です。
・40代男性 一般内科 比較的良い
長風呂は体力を奪うため避けたほうが無難です。
・60代男性 一般内科 比較的良い
あまりしたことがないのでわかりませんが、文献的には効果があるらしいです。
・50代女性 一般内科 比較的良い
全身状態さえ良ければ、湯冷めしないようにして、入浴してもらっています。清潔な方が、良いと思います。
入浴を許可する医師のコメントの中でも多かったのが、元気であれば、また全身状態さえ良ければ入浴可能というものでした。他にも、清潔を重視する声が複数見られました。一部には、「蒸気を吸入することで気道粘膜に好影響を与え、保清にも良く、気分的にもリラックスできる」というポジティブな意見も見られました。 ただし、注意点として、「長風呂は体力を奪うため避けたほうが無難」という声や「脱水に注意」という声も聞かれました。熱があるときは、長風呂や湯冷め、脱水に気をつけながら入浴する必要がありそうです。
体力が消耗するため控えた方が良いという声も
・50代女性 一般内科 あまり良くない
体力消耗するので、高熱の場合は控えたほうがいいでしょう。
・50代女性 一般内科 あまり良くない
お風呂は体力を消耗し脱水になると考えています。
・50代女性 一般内科 あまり良くない
体力を消耗すると悪化する傾向があります。消耗しない入浴は、短時間のシャワー浴後に、頭髪は充分に乾かして、30分間の入床安静が必要と思います。
・60代男性 一般内科 あまり良くない
すでに体温が上昇しているので、入浴するとよけいに体力を消耗します。
・50代女性 一般内科 良くない
発熱時には体力消耗もあり、入浴による消耗は避けたほうが無難と考えます。
・50代男性 一般内科 良くない
入浴は体の体温調節を狂わせますから入らない方が良いと思います。
・50代男性 一般内科 良くない
脱水を助長して体温上昇を招きます。
・50代男性 一般内科 良くない
入浴は体力を使うので発熱時はやめるべきです。
入浴を控えるようアドバイスする医師のコメントには、入浴による体力消耗や脱水症状を懸念する声が多く挙げられていました。
発熱時の入浴について心配な方は、健康状態に注意を払いつつ、体力消耗を抑えるようシャワー浴にしたり、脱水にならないよう心がけたりすることが大事そうですね。
入浴を避けた方がよい熱の随伴症状とは?
では、熱に加えて他の症状がある場合も、入浴して大丈夫なのでしょうか。
万が一、お風呂に入ったことで体調が悪化してしまっては元も子もありません。どんな症状があるときには入浴を避けるべきか、判断できるようしておきたいところです。
そこで「お風呂に入ることを控えるべきだと考えられる熱の症状は、以下のうちどれですか」という質問に対して、同じく医師523人に、以下の選択肢からあてはまるものを全て選んでもらいました。
・熱とめまいやふらつきの症状がある
・38度以上の高熱が出ている
・熱と吐き気の症状がある
・熱と悪寒がする
・熱と下痢の症状がある
・熱と頭痛の症状がある
・いずれのときでも発熱があればお風呂は控える
・その他
以下がアンケート結果となります。
集計の結果、全体の5割以上の医師が、熱とめまいやふらつきが伴うときは入浴を避けるべきと回答しています。
また約4割の医師が、38度以上の高熱や吐き気が伴う場合の、入浴による症状悪化の危険性について指摘しています。
それでは、回答した医師のコメントを見ていきましょう。
「めまいやふらつき」「高熱」「吐き気」がある場合はお風呂を控えるべき
・30代女性 一般内科 熱とめまいやふらつきの症状がある
安全が確保できることが重要です。
・40代男性 一般内科 熱とめまいやふらつきの症状がある
どうしても入りたければぬるま湯で短時間に留めましょう。
・50代男性 一般内科 熱とめまいやふらつきの症状がある
転倒などの心配がなければ入浴可能と思います。
・60代男性 一般内科 38度以上の高熱が出ている
年齢にもよります。高齢者では37.5℃以上ではやめたほうがいいでしょう。
・50代男性 一般内科 38度以上の高熱が出ている
高熱の時は控えましょう。
・50代男性 一般内科 38度以上の高熱が出ている
高熱の時は控えるべきだと思います。
・50代男性 一般内科 熱と吐き気の症状がある
吐き気と頭痛がある場合は避けた方が良いです。
・30代男性 一般内科 熱と吐き気の症状がある
熱と吐き気がある場合は、入浴を控えるべきと思います。
・50代男性 一般内科 熱と吐き気の症状がある
程度によりますが、脱水が示唆されるような状況では、入浴により脱水助長は好ましくないと思います。
どの症状を選択した医師にも共通して見られたのは、「熱に加えて他の症状があるとき、症状が悪化する危険性もあり入浴は避けるべき」との意見です。具体的には、「めまいやふらつき」、「吐き気」が挙げられていました。また、高熱時も入浴を控えるよう促す医師のコメントも見られました。
発熱時は、熱も高くなく症状が軽ければ、短時間に限って入浴しても大丈夫、くらいに捉えておくのがよいかも知れません。
軽い発熱時は入浴してもOK。ただし無理は禁物!
今回の調査では523人のうち約8割 の医師が、熱があるときでもお風呂に入って構わないと回答しています。しかし入浴が可能な場合でも、短時間に留めること、湯冷めしないように対策すること、脱水症状には気をつけること、などが主な留意点として指摘されています。
また、熱に加えて他の症状がある場合や高熱の際には、症状が悪化する危険性もあり入浴は避けるべきとの意見が多数見られました。
症状が軽く、自己管理が充分できる状態であれば、入浴しても大丈夫なようですが、症状が重い場合は無理しない方がよさそうです。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1302