トップアスリートが語る!トップで活躍し続ける秘訣とは 遠藤保仁さん×リーチ・マイケルさん
ガンバ大阪所属のサッカー選手として、38歳を迎えた今も現役で活躍する遠藤保仁さん。そしてラグビー東芝ブレイブルーパスに所属し、日本代表の主将も務めるリーチ・マイケルさん。共に日の丸の重さを知るトップアスリート同士が語る、プレッシャーに打ち勝つ方法や活躍し続ける秘訣とは。意外な共通点にも迫ります。
日本代表として戦う難しさやプレッシャーは?
遠藤:リーチさんはニュージーランド出身ですよね。日本で長くプレーをしているとはいえ、母国ではない国の代表として戦うことの難しさは?
リーチ:15歳で日本に来る前は、カラダも小さいし弱いし、能力もなかったんです。でも日本で練習を積むことで強くなることができましたし、お世話になった方がたくさんいたので、僕の中では日本代表として出場することは自然なことでした。
遠藤:不安はなかったですか?
リーチ:もちろん、ありましたよ。特にキャプテンになるときは、日本出身の選手がやるべきではないのかと葛藤しました。でも僕が一番愛しているのはラグビーだし、日本のラグビーを強くしたいという思いが強かった。日本への恩返しの意味もあり、引き受けることにしたんです。
遠藤:そうだったんですね。僕も日本代表としてプレーすることは小さい頃から憧れていましたが、初めの5年くらいは代表の重みや重要性をあまり感じていなかったんです。でも年を重ねるごとに、日本を代表して戦うことの責任やありがたさを感じながらプレーしていましたね。
チームのために個人ができることはなんだと思いますか?
リーチ:一人一人が同じ目標を持って戦うこと。普段はクラブチームでプレーをしていても、常に日本代表の目標を頭の片隅に置いておくようにしています。
遠藤:確かに代表が集まる期間はすごく短いので、各クラブにいる時間のほうが圧倒的に長い。そこでいかに個人の能力を上げていくかが必要になりますね。ただし代表のコンセプトに合わせたプレーをすることはもちろん、監督が求めている以上の突き抜けたプレーを見せることも大事。そうすれば、チーム全体も強くなっていくと思います。リーチ選手なんかは、普段からものすごく筋トレもしているんでしょうね。
リーチ:実は意外としていないんです。上半身はタックルをしすぎて肩が上がらないので、下半身だけするようにしています。
遠藤:毎試合ケガをするんですか?
リーチ:そうですね、どこかしら(笑)。
遠藤:見ているとすごく楽しいけど、ラグビーのようなぶつかり合うスポーツは僕にはできない(笑)。そこを追求しているリーチ選手は、本当にすごいと思います。
トップで活躍し続けるために継続していることは?
遠藤:トレーニングのアプローチの仕方は3か月に1回変えるようにしています。これは20代の頃から続けていること。サッカーが上手くなりたいという目的は同じですが、同じアプローチでは飽きてしまうし、常に自分に刺激を与えてモチベーションを上げるためにも大事なんです。
リーチ:僕の場合は毎日必ずひとりの時間を作ること。会社に行く前にカフェに寄り、コーヒーを飲みながら今の自分の状態や将来のことなどを考えています。練習が終わった後も同じ。練習でうまくいかないことがあった場合、その気持ちを家に持ち込まないよう、一度どこかに立ち寄ってリセットさせています。
遠藤:確かに、僕らもフィールドで練習している時間は長くて90分。それ以外の時間のほうが圧倒的に長いので、いかにリセットしてすごせるかは大事ですね。うちは4人子供がいるので、家にいるとうるさいけど楽しいですよ(笑)。休みの日には奥さんと必ずランチに行って話すなど、リラックスする時間を作っています。リーチ選手がリラックスできる場所は?
リーチ:銭湯かな。
遠藤:え、意外! 声かけられて大変そうですね(笑)。
食事や水分補給のこだわりは?
リーチ:朝はシリアルで簡単に。お昼は定食屋さん、夜は家で鍋を食べることが多いです。
遠藤:量はどのくらい食べるんですか?
リーチ:ステーキだったら700グラムから。ハンバーグだったら400グラムを二皿とかですかね。
遠藤:すごい! 僕はサッカー選手でも食べないほうなんです。朝はフルーツがメイン。一番食べる昼も、絶対サラダを最初に食べて、タンパク質をメインに摂るように意識しています。唐揚げの場合は皮を取るなどカロリーにも一応気を使っているけど、かといって徹底しているわけではなく、ラーメンを食べることもたまにあります。ストレスをためないように食べたいときに食べることも大切かもしれません。水分に関しては試合の当日摂っても遅いので、特に夏場は前日からしっかり飲むようにしています。
リーチ:水分が不足するとケガにも繋がるので、僕も1日2リットルの中にスポーツドリンクを500mlは飲んでいますね。ヘルシアウォーターも、はちみつ入りでおいしいですよね。
遠藤:めっちゃ飲みやすいですよね。僕も毎日飲んでます。僕らアスリートは水分不足がプレーに直結することを身をもって知っているので、喉が渇かなくてもちょこちょこ水分を摂る習慣は身に付いていると思います。
年齢を重ねてから、カラダ作りの方法に変化は?
リーチ:スピード練習よりも体力をつけるための練習を増やすようになりました。午前と午後に2時間ずつ練習があるのですが、その間にウエイト・トレーニングをしています。
遠藤:僕は特にないですね。30代になってバテやすくなったわけでもないですし。リーチ選手は試合前にゲンカツギとかってするんですか?
リーチ:ホテルの部屋の荷物をキレイにすることくらいかな。
遠藤:真逆だ(笑)。僕はそのまま出ちゃいます。
リーチ:ただ、それ意外は特別何かをしているわけではなくて。
遠藤:僕も同じ。完全に自然体です。
リーチ:もっとアスリートっぽい答えができればいいんですけどね。
遠藤:僕らって常にストイックに気を張っているイメージを持たれがちだけど、実はそんなことないんですよ。ルールを決めすぎず、ストレスを溜めずに自然体でいることが、現役を続けていく秘訣かもしれません。