肥満は遺伝子によって左右されるのか?医師523名に聞いてみました
本調査では、日本人は太りやすい遺伝子を持った人が多いか質問したところ、69%もの医師が肯定的な見解を示しました。太りやすい家系で生まれた人は、痩せるよりも太る可能性の方が高いとの指摘が多く、また、飢餓状態に耐えられるように、はなから太りやすい遺伝子を持って生まれる人が多いとの声も目立ちました。一方、否定的な意見には、欧米人と比べると太りやすい遺伝子は少ないとの声が寄せられています。また、たくさん食べても太らない人は遺伝子が関係しているかという質問に対しては、8割の医師が肯定的な意見を示す結果となりました。太りにくい遺伝子に加え、基礎代謝量の高さや胃下垂などの体型も影響しているとの意見が多く、否定的な意見にも、消費するカロリー数が多いといったコメントが散見されました。
いくらダイエットをしても肥満が解消されずなかなか痩せられないという方も少なくはないでしょう。逆にたくさん食べてもまったく太らないという方もいます。
それはもしかしたら、“遺伝子”が関係しているのかもしれません。親が太っているから太りやすい、痩せ型家系だから痩せているなどと考えている方もいるかと思います。
では、そうした遺伝子が原因で体型が左右されることはあるのでしょうか。
そこで今回は、日本人は太りやすい遺伝子を持った人が多いと思うか、たくさん食べても太らない人は遺伝子が関係していると思うか、一般内科医、総合診療医、代謝・内分泌科医、健診・予防医学医の計523名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年10月8日~2018年10月11日にかけて行われ、一般内科医、総合診療医、代謝・内分泌科医、健診・予防医学医の計523名から回答を頂きました。
日本人は太りやすい遺伝子を持った人が多いのか?
まず、医師の方々には「これまでの先生のご経験で、日本人は太りやすい遺伝子を持った人が多いと思いますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントをいただきました。
・多い
・ある程度はいる
・あまりいない
・ほとんどいない
以下が結果となります。
・60代男性 代謝・内分泌科 「ある程度はいる」
家族の体型を見ると遺伝はある感じがします。
・50代男性 一般内科 「ある程度はいる」
遺伝というか体質というか、太りやすい家系はあります。
・60代男性 一般内科 「ある程度はいる」
家系的に肥満であることは時々あります。
・60代男性 一般内科 「ある程度はいる」
肥満による臓器障害を来しやすい遺伝子を持っていると思います。
・60代女性 代謝・内分泌科 「ある程度はいる」
家族的にかなり肥満の家系もあります。
・20代男性 一般内科 「ある程度はいる」
欧米と比べると少ないですが、太りやすい家系はあると思います。
・60代男性 一般内科 「あまりいない」
欧米人ほど多くないと思います。
・70代男性 一般内科 「あまりいない」
欧米人と比べて少ないと思います。
・40代男性 一般内科 「あまりいない」
基本的にいないと思います。生活習慣の遺伝は食習慣の欧米化とともに今後世代で増えてくるのではないでしょうか。
・50代男性 一般内科 「あまりいない」
アメリカと比べると、遺伝より環境(食べすぎ)の要因が大きいです。
・50代男性 一般内科 「あまりいない」
日系のブラジル人を見ると日本人と体型が違いますし、食事の内容が原因だと思います。
・50代男性 一般内科 「多い」
肥満遺伝子を持った者が多いと思います。
・50代男性 一般内科 「多い」
周りを見てみると、遺伝性はあるかと考えられます。
・60代男性 一般内科 「多い」
飢餓状況でも生存できるよう、太りやすい遺伝子の人が多くなったと思われます。
・60代男性 代謝・内分泌科 「多い」
飢餓状態に耐える体質のため過食で肥満になるのではないでしょうか。
・50代女性 一般内科 「ほとんどない」
欧米人に比べると少ないと思います。
・50代男性 一般内科 「ほとんどない」
アメリカと比べたら少ないでしょう。
・40代男性 一般内科 「ほとんどない」
日本人はアメリカ人と比べて元々痩せている人が多いので、食べすぎなければ大丈夫でしょう。
調査の結果、日本人は太りやすい遺伝子を持った人が多いかという質問に対し、肯定的な意見(「多い」と「ある程度はいる」の合計)が69%を占めました。
否定的な意見(「あまりいない」と「ほとんどいない」の合計)は31%にとどまっています。
医師のコメントを見てみると、やはり家族の体型に言及する意見が多く挙げられていました。太りやすい家系で生まれた人は、太るか痩せるかでいうと前者になる可能性の方が高い場合があるようです。
また、飢餓状態に耐えられるように、太りやすい遺伝子の人が多いのではと指摘する意見も寄せられています。
一方で否定的な回答をした医師は、体質の遺伝ではなく食習慣や食事内容が同じことにより家族で肥満体型になるという意見が挙げられました。
他にも、欧米人と比べて遺伝は少ないとの意見が多く挙げられています。
一般的に日本人はアメリカ人よりも細身の体格の方が多いことから、欧米人と比べると太りやすい遺伝子を持った人は少ないと考える方が多いようです。
8割の医師が「食べても太らない人は遺伝子が関係している」と回答
続いて、「たくさん食べても太らない人は遺伝子が関係していると思いますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントをいただきました。
・大いに関係している
・多少は関係している
・あまり関係ない
・ほとんど関係ない
以下が結果となります。
・60代男性 一般内科 「多少は関係している」
遺伝子も少しはありますが、基礎代謝量が多いというのもあります。
・60代男性 一般内科 「多少は関係している」
個人差はありますが、基礎代謝量の問題だと思います。
・50代女性 一般内科 「多少は関係している」
基礎代謝が遺伝を反映しているのかもしれません。
・60代男性 総合診療 「多少は関係している」
基礎代謝などが遺伝的影響を及ぼすのではないでしょうか。
・30代男性 一般内科 「多少は関係している」
胃下垂や基礎体温が高ければ太りにくいです。
・40代女性 一般内科 「多少は関係している」
遺伝子のみでなく、それによる胃下垂などの体型も関わってくると思います。
・50代男性 総合診療 「大いに関係している」
基礎代謝が高い家系は太りにくいと思います。
・50代男性 代謝・内分泌科 「大いに関係している」
基礎代謝が高いのだと思います。
・50代男性 総合診療 「大いに関係している」
基礎代謝量の差はあるでしょう。
・60代男性 一般内科 「大いに関係している」
います。きっと基礎代謝が高いのだと思います。
・60代男性 一般内科 「大いに関係している」
大食いでも肥満にならない人はいるので、遺伝的素因も十分に考えられます。
・50代男性 一般内科 「あまり関係ない」
その分消費しているカロリー数も多いのでしょう。
・50代男性 一般内科 「あまり関係ない」
たくさん食べても太らない人はそれなりに消費しているのだと思います。
・40代男性 一般内科 「あまり関係ない」
単純に生活習慣のどこかで消費していると思われます。
・60代女性 一般内科 「ほとんど関係ない」
エネルギーとカロリーの消費量の問題だと思います。
・50代男性 一般内科 「ほとんど関係ない」
食べれば必ず太ります。太らない人は総量が少ないか消費しているかのどちらかだと思います。
今回の調査では、たくさん食べても太らない人は遺伝子が関係しているかという質問に対し、肯定的な意見(「多少は関係している」と「大いに関係している」の合計)が80%を占める結果となりました。
医師のコメントを見てみると、太りにくい遺伝子に加え、家系的に基礎代謝量が高ければ、たくさん食べても太らないとの意見が多く寄せられました。
また、遺伝子や基礎代謝だけでなく、胃下垂などの体型も影響するのではと考える方もいるようです。
一方、少数派となった否定的な意見には、食べた分カロリーの消費量が多いとの声が挙がっています。たくさん食べてもその分消費するカロリー数が多ければ、体に貯まらないため、太りにくいのでしょう。
ある程度遺伝はあるかも。他にも基礎代謝が高いと太りにくい
今回の調査では、日本人は太りやすい遺伝子を持った人が多いかと質問したところ、69%もの医師が肯定的な意見を示しました。
太りやすい家系で生まれた人は、痩せるよりも太る可能性の方が高いとの指摘が多く、また、飢餓状態に耐えられるように、太りやすい遺伝子を持って生まれる人が多いとの声もありました。
一方、否定的な意見には、欧米人と比べると太りやすい遺伝子は少ないとの声が寄せられています。
続いて、たくさん食べても太らない人は遺伝子が関係しているかという質問に対しては、80%もの医師が肯定的な意見を示す結果となりました。
太りにくい遺伝子に加え、基礎代謝量の高さや胃下垂などの体型も影響しているとの意見が多く、一方の否定的な意見にも、消費するカロリーが大きいといったコメントが目立ちました。
以上をまとめると、太りやすいかどうかは、ある程度遺伝が関係しているかもしれませんが、医師のコメントからは、他にも基礎代謝が高いこと、胃下垂などの体型、食習慣の欧米化なども影響しているようでした。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1517