塩分を摂りすぎると体はむくむ?医師508名に聞いてみました
本調査によると、塩分を摂りすぎると体がむくむことについて、肯定的な意見が84%(「大いにある」と「多少はある」の合計)を占め、否定的な意見が16%(「あまりない」と「ほとんどない」の合計)という結果となりました。塩分の摂りすぎで体にむくみが生じることに対し、肯定的に考える医師が圧倒的に多いことが分かります。その主な理由としては、水分貯留やアルコールおよびおつまみの摂取、血圧上昇などが挙げられました。また、女性や高齢者、太っている人は特にむくみが起こりやすいという意見もあり、さらに、顔や足といった特定の部分にむくみが発生しやすいと考える医師もいました。
長時間の立ち仕事やデスクワークをしていると、体がむくみやすいという話をインターネット上でよく見かけます。
仕事だけでなく、アルコール類の飲みすぎや運動不足で体がむくんだという話もあるようです。
インターネット上のサイトをいくつか見てみると、塩分の摂取量が多すぎることで体がむくんでしまうといったケースもあるといいます。果たしてそれは本当なのでしょうか。
そこで今回は、塩分を摂りすぎると体はむくむのか、一般内科医、総合診療科医、循環器内科医、健康・予防医学科医の医師508名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年12月17日〜12月20日にかけて行われ、一般内科医、総合診療科医、循環器内科医、健診・予防医学医の508名から回答を頂きました。
塩分を摂りすぎると体はむくむの?
医師の方々には、「塩分の摂りすぎによって体がむくみやすくなることはあると思いますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでいただき、コメントを頂きました。
・大いにある
・多少はある
・あまりない
・ほとんどない
以下が結果となります。
集計したところ、塩分を摂りすぎると体はむくむのかについて、84%の医師が肯定的な意見(「大いにある」と「多少はある」の合計)、16%の医師が否定的な意見(「あまりない」と「ほとんどない」の合計)を回答し、肯定派が圧倒的に優勢な結果となりました。
大多数の医師が、塩分の摂りすぎによって体がむくむと考えていることが明らかとなっています。
では、肯定派の医師のコメントを見ていきましょう。
水分貯留によるむくみ
・60代男性 循環器内科 「大いにある」
水分が貯留することによるむくみが考えられます。
・50代男性 一般内科 「大いにある」
塩分と水分の摂りすぎがむくみの原因となります。
・30代男性 循環器内科 「大いにある」
塩分過多だと水分摂取でむくみます。
・50代女性 一般内科 「大いにある」
塩分を摂りすぎると喉が渇き、水分を摂りすぎるとむくみます。
・50代男性 一般内科 「多少はある」
水分摂取が伴うことでむくみます。
・50代男性 一般内科 「多少はある」
当然水分貯留作用が関係しているでしょう。
・40代男性 循環器内科 「多少はある」
塩分過剰摂取により、水分摂取量が増えるためと考えています。
・50代男性 循環器内科 「多少はある」
塩分摂取は水分量の増加を引き起こし得ます。
塩分の摂りすぎによって体がむくむことは「大いにある」、「多少はある」とした回答のなかには、水分貯留によって体がむくむことがあるとの意見が見られました。
医師のコメントによると、塩分の摂りすぎで喉が渇き、水分を多く摂取することで体がむくむのではとの見解が寄せられています。
実際、むくみは体に水が多く貯まることで発生すると言われています。
むくみ(浮腫)は、組織内の体液の量が過剰になることによって起こります。その体液は主に水が占めています。
引用:むくみ - 06. 心臓と血管の病気 - MSDマニュアル家庭版 - The MSD Manuals
人間の体には塩分も水分も必要不可欠ですが、摂りすぎると体がむくんでしまうことがあるため、過剰摂取には気をつけたいですね。
アルコールとおつまみによるむくみ
・50代男性 総合診療科 「大いにある」
お酒のつまみを摂り過ぎたときに覿面です。
・30代男性 一般内科 「大いにある」
飲酒の後などはつまみの塩分過剰でむくみやすくなります。
・40代女性 一般内科 「大いにある」
宴会の翌日とかはむくみやすいです。
前述と繋がる点がありますが、アルコールとおつまみをセットで口にすると体がむくみやすいとの意見もありました。
特にお酒の席に置いてあるおつまみは塩分が高いものが多く、それに加えてアルコールを口にすると、やはり体はむくみやすいようです。
女性・高齢者・太っている方には多い
・50代男性 一般内科 「大いにある」
特に女性では頻繁に見ます。
・30代女性 一般内科 「大いにある」
特に女性は多いのではないでしょうか。
・40代女性 一般内科 「大いにある」
女性はむくみやすいと思います。
・30代女性 循環器内科 「大いにある」
特に高齢者で頻度が高いと思います。
・50代女性 循環器内科 「大いにある」
高齢者では、塩分で著明に下肢浮腫が起こったりします。
・70代男性 一般内科 「大いにある」
高齢者に多くみられています。
・50代女性 一般内科 「多少はある」
多少はある印象です。特に高齢者の方は。
・30代男性 一般内科 「多少はある」
多少はありますが、太っている場合が多いです。
・40代女性 一般内科 「多少はある」
むくみもありますが、塩分の多い人はたいがい太っています。
・60代男性 循環器内科 「多少はある」
健康人では多少のむくみ程度で治ります。
また、肯定派の意見のなかには、女性・高齢者・太っている人は体がむくみやすいというコメントも見られました。
年齢や性別、体質などによって、むくみやすさが変わってくると考える方もいるようです。
血圧上昇によるむくみ
・60代男性 一般内科 「多少はある」
高血圧などから心不全を伴うことがあります。
・60代男性 総合診療科 「多少はある」
血圧が上昇するためだと考えます。
・50代男性 循環器内科 「多少はある」
動脈硬化による高血圧でむくみが生じるのでしょう。
・50代男性 一般内科 「多少はある」
高血圧が考えられます。
さらに、肯定派の意見のなかには、血圧が上昇することによってむくみが発生するとのコメントもありました。心不全を伴う、といったコメントもあり、場合によっては治療を急ぐ場面もありそうです。
むくみが特定の部分に生じることも
・50代男性 一般内科 「大いにある」
顔面がむくむことは考えられます。
・60代男性 一般内科 「大いにある」
脚部がパンパンに腫れることがあります。
・30代男性 一般内科 「大いにある」
足のむくみが顕著に表れます。
・50代男性 一般内科 「多少はある」
塩分を取り過ぎて顔が浮腫むことがあります。
・40代男性 一般内科 「多少はある」
過剰摂取時には朝顔がむくんだりと言ったことはありえます。
そのほか、肯定派の意見のなかには、特定の部分的にむくみが生じるといったコメントも寄せられました。具体的には、顔や足がむくむことが多いようです。
それでは最後に、否定的な回答をした医師のコメントを見ていきましょう。
塩分の摂りすぎだけが必ずしも原因ではない
・40代男性 一般内科 「あまりない」
様々な原因でおこるので、塩分がどこまで関係しているかわかりにくい面があります。
・50代男性 一般内科 「あまりない」
頻度としては少ないですが浮腫の原因になりうると思います。
・50代男性 一般内科 「あまりない」
塩分の摂り過ぎだけが原因ではないと思います。
・50代男性 循環器内科 「あまりない」
多少関係はあると思いますが、気になったことは少ないです。
・50代男性 一般内科 「ほとんどない」
そのような患者さんに遭遇したことがありません。
・30代女性 一般内科 「ほとんどない」
あまり関係ないと思います。
否定的な回答をした医師からは、原因が複数あるためどこまで塩分が関係しているのかわからないというコメントや、そのような患者さんを経験したことが少ないというコメントが寄せられました。
むくむ理由は多くあるようなので、必ずしも塩分が影響しているとは断言できないようです。
塩分過多は体のむくみを起こしやすい
今回の調査では、塩分を摂りすぎると体はむくむのか聞いたところ、84%の医師が肯定的な意見、16%の医師が否定的な意見を述べ、肯定派が圧倒的に多い結果となりました。
医師からは、水分貯留によってむくんでしまう、アルコールとおつまみの摂取が関係する、血圧が上昇しむくんでしまうといったことがコメントされています。
また、女性や高齢者、太っている方に多いなどの意見も散見されます。当てはまる方は塩分の摂りすぎに注意した方が良さそうですね。
以上をまとめると、塩分を過剰に摂取すると、多かれ少なかれ体のむくみは発生しやすいようです。みなさんも塩分の摂りすぎには十分注意し、健康に気を使った食生活を意識してみてはいかがでしょうか。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1699